サッカーは、細かなルールの下で、行われているスポーツです。
プレーに関するルールだけでなく、プレーを行う環境も、細かく定められています。
今回は、その、プレー環境について書かれている、競技規則第1条(競技のフィールド)について、書いていきたいと思います。
目次
競技規則 第1条 競技のフィールド
各項目ごとに、解説しながら、書いていきます。
1. フィールドの表面
まずは、競技規則の内容を見ていきましょう。
1. フィールドの表面
競技のフィールドは、全体が天然、または、競技会規定で認められる場合は全体が人工の表面でなければならない。ただし、競技会規定で認められる場合、人工と天然素材を組み 合わせたもの(ハイブリッドシステム)を用いることもできる。
人工芝の表面の色は、緑でなければならない。
FIFA加盟サッカー協会の代表チームまたクラブチームの国際競技会のいずれの試合においても人工芝が用いられる場合、その表面はFIFAサッカー芝クオリティプログラム(FIFA Quality Programme for Football Turf)または国際試合基準(International Match Standard)の要件を満たさなければならない。ただし、FIFAから特別な適用免除を受けた場合は除く。
FIFAサッカー競技規則2019/20より
最後のほうは、なかなか難しそうなことが書いてありますねぇ(笑)
部分部分で解説してきます。
まず、競技のフィールドは、全体が天然、または、競技会規定で認められる場合は全体が人工の表面でなければならないの部分ですが、これは、そのままの意味です。
あくまでも、公式試合での話ですが、「試合をするときは、天然芝のピッチか、規定で認められた人工芝のピッチでしなさいよ」っていうことです。
ですが、その続きの、ただし、競技会規定で認められる場合、人工と天然素材を組み合わせたもの(ハイブリッドシステム)を用いることもできるの部分も、重要です。
芝のハイブリッドとは?と思う方もいるかもしれませんが、実は、日産スタジアムや、ノエビアスタジアムの芝は、この「ハイブリッド芝」なんです(他にもいくつのスタジアムで採用されてますが、、、)。
このハイブリッド芝の強みは、剥がれにくいということです。
ノエビアや日産は、ラグビーW杯で、かなりの数の試合がありました。ハイブリッド芝は、ラグビーのような、ピッチに負荷のかかることをする際に、効果を発揮します。
結論から言えば、剥がれにくい→荒れにくい→管理が比較的楽になるということです。
少し話がそれましたが、端的に言えば、「ピッチは天然芝か、人工芝か、ハイブリッド芝で、表面が緑色のものにしなさいよ」っていうことですね。
次は、その下に書いてあることについて説明していきます。
人工芝が用いられる場合、その表面はFIFAサッカー芝クオリティプログラム(FIFA Quality Programme for Football Turf)または国際試合基準(International Match Standard)の要件を満たさなければならない
これの詳細は、なかなかめんどくさい感じなので、ざっと説明すると、人工芝の素材などについての細かい規定です。
ということで、「1. フィールドの表面」についてまとめると、「ピッチは、天然芝か、規定に沿った人工芝か、認められたハイブリッド芝にしなさいよ」という感じです。
では、次に行きましょう。
2. フィールドのマーキング
まずは、競技規則の内容を見ていきましょう。
2. フィールドのマーキング
競技のフィールドは長方形で、危険がないよう連続したラインでマークしなければならない。危険でなければ、天然のフィールドにおけるマーキングに人工の表面素材を用いることができる。エリアの境界線を示すラインはそのエリアの一部である。
第1条で指定されるラインのみ競技のフィールドに描くことができる。人工芝が用いられる場合、サッカーのためのラインと異なる色ではっきりと見分けられるならば、その他のラインを描くことができる。
長い方の2本の境界線をタッチライン、短い方の2本の境界線をゴールラインという。
2本のタッチラインの中点を結ぶハーフウェーラインで競技のフィールドを半分に分ける。
ハーフウェーラインの中央にセンターマークをしるす。これを中心に半径9.15m(10 ヤード)のサークルを描く。
コーナーアークから9.15m(10ヤード)離れた競技のフィールドの外側に、ゴールラインとタッチラインに対して直角のマークをつけることができる。
すべてのラインの幅は同じで、12㎝(5インチ)を超えてはならない。ゴールラインの幅はゴールポストおよびクロスバーの厚さと同じでなければならない。
競技者が競技のフィールドに許可されていないマークをつけた場合、反スポーツ的行為で警告されなければならない。試合中に審判がそれを見つけたならば、次にボールがアウトオブプレーになったとき、反則した競技者を警告しなければならない。
FIFAサッカー競技規則2019/20より
ここでは、主にラインの描き方について書いてあります。
では、少しずつ見ていきましょう。
まず、競技のフィールドは長方形で、危険がないよう連続したラインでマークしなければならない。危険でなければ、天然のフィールドにおけるマーキングに人工の表面素材を用いることができる。エリアの境界線を示すラインはそのエリアの一部であるの部分です。
ここでは、とくに難しいことは書いてありませんが、最後の部分、エリアの境界線を示すラインはそのエリアの一部であるは、他の競技もだいたいそうですが、例えば、テニスのチャレンジシステムのように、ラインにボールが1ミリでも掛かっていたら、ライン上なので、それは、そのエリアの中という考え方ですよってことです。
次に、第1条で指定されるラインのみ競技のフィールドに描くことができる。人工芝が用いられる場合、サッカーのためのラインと異なる色ではっきりと見分けられるならば、その他のラインを描くことができる。の部分です。
第1条で指定されるラインとは、このあと書いていきますが、フィールドに描いてもいいラインのことです。
その次の、人工芝が用いられる場合、サッカーのためのラインと異なる色ではっきりと見分けられるならば、その他のラインを描くことができる。の部分は、どういうことかというと、皆さんなら体育館だとイメージが浮かぶと思いますが、体育館って、バスケのコートがあったり、バレーのコートがあったり、バドミントンのコートがあったりしますよね?
体育館のように、人工芝のコートもサッカーのコートやラグビーのコートやフットサルのコートが重なっているところが多いです。そのようなところは、サッカーは白、ラグビーは黄色、フットサルは青、というように、区別がつく色分けをしなさいということです。
その下の、
長い方の2本の境界線をタッチライン、短い方の2本の境界線をゴールラインという。
2本のタッチラインの中点を結ぶハーフウェーラインで競技のフィールドを半分に分ける。
ハーフウェーラインの中央にセンターマークをしるす。これを中心に半径9.15m(10 ヤード)のサークルを描く。
コーナーアークから9.15m(10ヤード)離れた競技のフィールドの外側に、ゴールラインとタッチラインに対して直角のマークをつけることができる。
すべてのラインの幅は同じで、12㎝(5インチ)を超えてはならない。ゴールラインの幅はゴールポストおよびクロスバーの厚さと同じでなければならない。の部分は、そのままの意味なので、説明は、端折ります。(このあたりが、「第1条で指定されるライン」のことです)
その次にある、
競技者が競技のフィールドに許可されていないマークをつけた場合、反スポーツ的行為で警告されなければならない。試合中に審判がそれを見つけたならば、次にボールがアウトオブプレーになったとき、反則した競技者を警告しなければならない。の部分は、選手がピッチに勝手に線を引いたり、印をつけたりしたらいけませんよっていうことです。
もし、プレー中にそのような行為を見つけたら、次にプレーが止まったときに、警告(イエローカード)を出しますよという注意ですね。
3. 大きさ・4. 国際試合用の大きさ
3. 大きさ
タッチラインは、ゴールラインより長くなければならない。
・長さ(タッチライン) 最小 90m (100ヤード) 最大 120m (130ヤード)
・長さ(ゴールライン) 最小 45m (50ヤード) 最大 90m (100ヤード)4. 国際試合用の大きさ
FIFAサッカー競技規則2019/20より
・長さ(タッチライン) 最小 100m (110ヤード) 110m (120ヤード)
・長さ(ゴールライン) 最小 64m (70ヤード) 最大 75m (80ヤード)
また、(公財)日本サッカー協会の決定として、
・センターマークおよびペナルティーマークは、直径22cmの円で描く。
FIFAサッカー競技規則2019/20より
・コーナーアークから9.15mを示すマークは、ゴールラインまたはタッチラインから5cm 離して直角に30cmの長さの線で描く。9.15mの距離は、コーナーアークの外側からこ のマークのそれぞれゴール側の端またはハーフウェーライン側の端までとする。
・日本国内での国際試合および国民体育大会等の全国的規模の大会での競技のフィールドの大きさは105m×68mとする(1985年11月21日理事会決定)。
なお、FIFAは、ワールドカップ、オリンピック等の競技のフィールドの大きさを105m× 68mと定めている。
・クロスバーおよびゴールポストの幅と厚さは、共に12cmのものが最も適当とする。
ということが決められています。
↑競技規則には、こんなのが貼ってあります。
5. ゴールエリア
5. ゴールエリア
FIFAサッカー競技規則2019/20より
ゴールポストの内側から、5.5m(6ヤード)のところに、ゴールラインと直角に2本の ラインを描く。このラインは、競技のフィールド内に5.5m(6ヤード)まで延ばし、そ の先端をゴールラインと平行なラインで結ぶ。これらのラインとゴールラインで囲まれ たエリアがゴールエリアである。
この赤い部分がゴールエリアです。
詳しくは、過去にこちらの記事に書いておりますので、ご参考にしてください。
6. ペナルティーエリア
6. ペナルティーエリア
FIFAサッカー競技規則2019/20より
ゴールポストの内側から、16.5m(18ヤード)のところに、ゴールラインと直角に2本のラインを描く。このラインは、競技のフィールド内に16.5m(18ヤード)まで延ばし、 その先端をゴールラインと平行なラインで結ぶ。これらのラインとゴールラインで囲まれたエリアがペナルティーエリアである。
この赤い部分が、ペナルティーエリアです。
詳しくは、過去にこちらの記事に書いておりますので、ご参考にしてください。
7. コーナーエリア
7. コーナーエリア
FIFAサッカー競技規則2019/20より
コーナーエリアは、それぞれのコーナーフラッグポストから、半径1m(1ヤード)の四分円を競技のフィールド内に描いて規定される。
それぞれの角にある、アーク状のエリアです。
詳しくは、過去にこちらの記事に書いておりますので、ご参考にしてください。
8. フラッグポスト
8. フラッグポスト
各コーナーには、旗をつけた先端のとがっていない高さ1.5m(5フィート)以上のフラッグポストを立てる。
FIFAサッカー競技規則2019/20より
ハーフウェーラインの両端に、タッチラインから1m(1ヤード)以上はなしてフラッグ ポストを立ててもよい。
上の写真が、フラッグポストです。
フラッグポストは、一般的には、コーナーフラッグと言われています。
各コーナーには、旗をつけた先端のとがっていない高さ1.5m(5フィート)以上のフラッグポストを立てる。とは、このコーナーフラッグを立てなさいということです。
その下の、 ハーフウェーラインの両端に、タッチラインから1m(1ヤード)以上はなしてフラッグ ポストを立ててもよい。 とは、ハーフウェーライン(コート中央のライン)の延長線上に、目印として旗を立ててもいいですよということです。
ですが、正直、このフラッグは必要ないので、あまり立てている試合は見ません。
9.テクニカルエリア
9.テクニカルエリア
テクニカルエリアは、スタジアムでの試合において用いられるもので、以下に示されるよう、エリア内には、チーム役員、交代要員および交代して退いた競技者の座席が設置される:
FIFAサッカー競技規則2019/20より
・テクニカルエリアは、特定された座席部分から両横に1m(1ヤード)、前方にタッチラインから、1m(1ヤード)の範囲内でなければならない。
・テクニカルエリアを明確にするためにマーキングをしなければならない。
・テクニカルエリアに入ることのできる者は:
・競技会規定に従って試合開始前に特定される。
・責任ある態度で行動しなければならない。
・トレーナーやドクターが競技者の負傷の程度を判断するため主審から競技のフィールドに入る承認を得た場合などの特別な状況を除いて、エリア内にとどまっていなければならない。
・その都度ただ1人の役員のみが戦術的指示を伝えることができる。
ちょっと難しいかもしれませんが、解説をしていきます。
まず、 テクニカルエリアは、特定された座席部分から両横に1m(1ヤード)、前方にタッチラインから、1m(1ヤード)の範囲内でなければならない とは、簡単に言うと、下のようなことです。
ベンチの部分から、両横に1m以内で、ピッチの部分からも1m以内でマーキングしなさいということです。
なぜ、このようなことがわざわざ書いてあるかというと、例えば、相手チームをホームに迎えての試合の際などに、相手のテクニカルエリアを下の図1のようにしたり、自分たちのテクニカルエリアを下の図2のようにしたりして、不平等になるのを防ぐためです。
その下は、特に説明することは、ありませんかね。(笑)
一番下の、その都度ただ1人の役員のみが戦術的指示を伝えることができる。の部分ですが、なぜこれが書いてあるかというと、これがないと、一度に、コーチ全員で指示出しが出来てしまうからです。
テクニカルエリアのところに監督やコーチがいっぱい立っていたら、気持ち悪いですよね?(笑)
それぞれの選手にそれぞれのコーチから指示を出したりすることがないように、これが記載されているのですね。
では次に行きましょう。
10. ゴール
10. ゴール
ゴールを1基、それぞれのゴールラインの中央に設置する。
FIFAサッカー競技規則2019/20より
ゴールは、コーナーフラッグポストから等距離のところに垂直に立てられた2本のポストと、その頂点を結ぶ水平なクロスバーとからなる。ゴールポストとクロスバーは、承認された材質でできていなければならない。その形は、正方形、長方形、円形、楕円系のいずれかでなければならず、危険なものであってはならない。
両ポストの間隔(内側)は、7.32m(8ヤード)で、クロスバーの下端からグラウンドまでの距離は、2.44m(8フィート)である。
ゴールラインに対するゴールポストの位置は、図のとおりでなければならない。
ゴールポストとクロスバーは白色で、同じ幅と同じ厚さで、12cm(5インチ)以下とする。
クロスバーがはずれた、または、破損した場合、それが修復されるか元の位置に戻されるまで、プレーは停止される。プレーはドロップボールによって再開される。クロスバーの修復が不可能な場合、試合は中止されなければならない。クロスバーの代わりに、ロープや曲がりやすい、または、危険な素材を用いることは認められない。
ネットをゴールとその後方に取り付けることができるが、それは適切に支えられ、ゴールキーパーの邪魔にならないようにする。
安全
ゴール(移動式ゴールを含む)はグラウンドに確実に固定しなければならない。
最初の方は、設置する位置や、サイズに関するルールです。
その下に書いてある、ゴールラインに対するゴールポストの位置は、図のとおりでなければならないの部分の図とは、下の図です。
さらにその下の部分は、ゴールが破損した場合などの対応方法が書いてあります。
この部分を要約すると、「ゴールが破損した場合は、ゴールが正しい状態に戻るまで、試合をしてはいけません。」ということです。
また、プレーの再開は、「中断した位置からのドロップボールで行わないといけない。」ということです。
最後の、ゴール(移動式ゴールを含む)はグラウンドに確実に固定しなければならないとは、そのままの意味ですが、例えば、シュートがゴールポストに当たったときや、選手が何らかの理由で体重を掛けたりしたときに、ゴールが動いてしまったら危険ですよね?
そのようなことがないように、これが書いてあるのですね。
では、次に行きましょう。
11. ゴールラインテクノロジー(GLT)
11. ゴールラインテクノロジー(GLT)
GLT システムは、得点があったかどうかを検証し、主審の決定を援助するために用いる
ことができる。
GLT を用いる場合、ゴールの枠の修正が認められる。修正はFIFA GLT クオリティプロ
グラムの規定および競技規則に従って行わなければならない。GLT の使用は、各競技会
規定に明記されなければならない。GLTの基本原則
FIFAサッカー競技規則2019/20より
GLTはゴールラインにのみ適用され、得点があったかどうかの決定にのみ用いられる。得点があったかどうかはGLTシステムによって瞬時になされ、自動的に1秒以内に、(主審の時計の振動および視覚的シグナルにより)審判員にのみ伝えられなければならない。
GLTの要件および規定
競技会の試合でGLTが用いられる場合、競技会主催者は、システムが次の要件を満たしていることを確認しなければならない:
・FIFAクオリティプロ
・FIFAクオリティ
・国際試合基準
独立した検査機関がFIFA GLTクオリティプログラムのテストマニュアルに従って、異なる技術提供会社のシステムの正確性および機能を検証しなければならない。その技術がテストマニュアルに沿って機能しない場合、主審はGLTシステムを用いてはならず、この事実を各関係機関に報告しなければならない。 GLTが用いられる場合、主審は試合前に、テストマニュアルに従ってこの技術の機能をテストする義務がある。
今回は、上記の説明よりも、そもそも、ゴールラインテクノロジーとは何なのかを説明していきます。詳しく気になる方は、「ゴールラインテクノロジー」とかでググってみてください(笑)
ゴールラインテクノロジー(GLT)とは、ボールがゴールラインを超えたかどうか(ゴールかノーゴールか)をセンサーやカメラで、自動で判別するシステムのことです。
ゴール判定の場合、主審の腕時計に信号が送られ、主審が、瞬時にゴールかノーゴールかを判定することができます。
このシステムを導入していない試合では、たびたび、ゴール判定に関する誤審があります。
例えば、ボールがゴールラインを超えていたのに、キーパーがボールを掻き出した結果、ノーゴールになってしまったり、クロスバーに当たったボールが、ゴールを超えた後、跳ね返ってきたりと、なかなか判定しにくい事例があります。
私も実際、スタジアムで観戦中にそのような誤審を見たことがあります。
そのようなことがないために、このシステムを導入することが出来るのです。
ですが、このシステムをリーグすべての試合に導入しようとなると、膨大な金額になります。
そのため、リーグ全体で完全導入しているところはなかなかありません。
また、最近では、VAR(ビデオアシスタントレフェリー)が話題ですが、GLTの機能は、VARでもまかなえるので、正直、これからはあまり需要はないと思います。
12. 商業的広告
12. 商業的広告
チームが競技のフィールドに入場してからハーフタイムで離れるまで、またハーフタイム後に再入場してから試合の終了まで、競技のフィールド、グラウンドのゴールネットで囲まれたエリア、テクニカルエリア内、またはレフェリーレビューエリア(RRA)、あるいは、境界線の外側1m(1ヤード)以内のグラウンドには、有形、無形にかかわらず、どんな形態であっても商業的広告は認められない。ゴール、ネット、フラッグポストやその旗にも広告は認められない。また、これらのものに余計な備品(カメラ、マイクロフォンなど)を付けてはならない。
FIFAサッカー競技規則2019/20より
また、立型の広告は、少なくとも:
・競技のフィールドのタッチラインから1m(1ヤード)、
・ゴールライン側については、ゴールのネットの奥行と同じ長さ、
・ゴールネットからは1m(1ヤード)離す。
まず、途中に出てくる、「レフェリービューエリア(RRA)」とは何なのかを説明します。
レフェリービューエリア(RRA)とは、VARを使用する際に、必要となるものです。
RRAは、ピッチサイドに設置してある、下の画像のような場所です。
VARが導入されている試合で、モニターの四角い形のジェスチャー(TVシグナル)をして審判がピッチの外に出て、映像を確認していますよね?
その、映像を確認するエリアがレフェリービューエリア(RRA)です。
では、本題に戻りましょう。
チームが競技のフィールドに入場してからハーフタイムで離れるまで、またハーフタイム後に再入場してから試合の終了まで、競技のフィールド、グラウンドのゴールネットで囲まれたエリア、テクニカルエリア内、またはレフェリーレビューエリア(RRA)、あるいは、境界線の外側1m(1ヤード)以内のグラウンドには、有形、無形にかかわらず、どんな形態であっても商業的広告は認められない。ゴール、ネット、フラッグポストやその旗にも広告は認められない。
この文章を要約すると、試合が進んでいるときは、ピッチ内やテクニカルエリア内、RRA内やピッチのすぐ近くには、商業的広告を出してはいけない。また、ゴールや、コーナーフラッグにも広告を載せてはいけない。ということです。
その下の、
・競技のフィールドのタッチラインから1m(1ヤード)、
・ゴールライン側については、ゴールのネットの奥行と同じ長さ、
・ゴールネットからは1m(1ヤード)離す。
の部分を要約すると、
タッチラインサイドの広告看板は、1メートル以上離して、ゴールラインサイドの広告看板は、ゴールネットの奥行分離して、ゴールネットからも1メートル以上離すということです。
ですが、下の画像のようなものがJ1の試合や、国際試合にはあります。
これは、一見、ゴールの奥行分を満たしておらず、規則違反のように見えますが、実は、
このようになっているのです。
これは、立型ではないので、ルールにはひっからないのですね。
では、次に行きましょう。
13. ロゴおよびエンブレム
13. ロゴおよびエンブレム
有形、無形にかかわらず、プレー時間中に、FIFA、大陸連盟、各国サッカー協会、競技会、 クラブ、その他の団体を表すロゴやエンブレムを競技のフィールド、ゴールネットとそれに囲まれたエリア、また、ゴールおよびフラッグポストに付けることは、禁止される。
FIFAサッカー競技規則2019/20より
フラッグポストの旗に付けることは、許可される。
これは、要するに、競技に関する場所(フィールド、ゴールなど)にロゴなどを描かないでくださいということです。
バスケなどの試合では、コート中央にチームロゴが描かれていたりします。
サッカーでは、そのようなことは、してはいけないということです。
ただし、一番下に、フラッグポストの旗に付けることは、許可される。と書かれています。
実際、ここ数年、Jリーグの試合のコーナーフラッグにも、Jリーグのロゴが描かれています。
他の部分と違って、プレーに影響がないため、許可されています。
では、最後に、話題のVARについて見ていきましょう。
14. ビデオアシスタントレフェリー(VARs)
14. ビデオアシスタントレフェリー (VARs)
VARが使用される試合においては、ビデオオペレーションルーム(VOR)と最低1か所 のレフェリーレビューエリア(RRA)を設置しなければならない。
ビデオオペレーションルーム(VOR)
VORは、ビデオアシスタントレフェリー(VAR)、アシスタントVAR(AVAR)およびリプレーオペレーター(RO)が業務を行うところであり、スタジアム内か近接の場所、または、遠隔の場所に設置することができる。試合中、VORには承認を受けた者のみが入室、また、VAR、AVARおよびROと会話することが認められる。
競技者、交代要員、交代して退いた競技者、またはチーム役員がVORに入室した場合には退場を命じられる。レフェリーレビューエリア(RRA)
FIFAサッカー競技規則2019/20より
VARが使用される試合においては、主審がフィールドでプレーをレビュー(OFR:オンフィールドレビュー)できるよう、最低1か所のRRAを次のように設置しなければなら ない:
・競技のフィールド外で目に見える場所
・はっきりとマークが付けられている
競技者、交代要員、交代して退いた競技者、またはチーム役員がRRAに入った場合には警告される。
ここでは、あくまでも、VARそのものの設置に関する規則だけが書いてあります。
VARの行ない方(手順など)に関しては、また別の記事で書こうと思っていますので、期待せずにお待ちください(笑)。
では、詳しく見ていきましょう。
まず、VARを使用する試合には、 ビデオオペレーションルーム(VOR)と最低1か所のレフェリーレビューエリア(RRA) が必要と書いてあります。
RRAについては、 「12. 商業的広告」のところで、少しお話いたしましたが、上記の二つについて、改めて説明していきたいと思います。
ビデオオペレーションルーム(VOR)
ビデオオペレーションルーム(VOR)は、ビデオアシスタントレフェリー(VAR)・アシスタントVAR(AVAR)・リプレーオペレーター(RO)が業務を行う下の画像のようなところです。
この部屋は、スタジアム内にはもちろんですが、遠隔の場所に設けることができます。
ですので、大きな大会の場合、VOR専用の場所を1つ設ければ、それぞれのスタジアムにVORを設置する必要もないのです。
試合中は、事前に承認を受けた者以外は、VORへの入室やVAR、AVAR、ROとの会話は禁止されています。
また、選手やチームスタッフが、入室した場合は、退場を命じられます。
レフェリーレビューエリア(RRA)
レフェリーレビューエリア(RRA)とは、主審がオンフィールドレビュー(OFR)を行うためのモニターがあるところです。
VARを導入する試合には、フィールド外で目に見える場所に、最低1ヶ所設置されています。
ほどんどの場合は、第四の審判がいるベンチの横あたりにあります。
また、テクニカルエリアのように、ラインやマーカーなどで、エリアがマークされており、競技者やチーム役員がこのエリア内に入ってしまうと、警告(イエローカード)を受けます。
皆さん、VARというと、主審がテレビのジェスチャーをして映像を見に行くというイメージがあると思いますが、そのモニターがあるのがこのRRAなのですね。
まとめ
皆さん、いかがでしたでしょうか。
かなり長くなってしまいましたが、競技規則の第1条についての解説でした。
サッカーのフィールドについて、かなり詳しくなれたかと思います。
話題のVARについても、ぼちぼち書こうと思うので、お楽しみに(笑)。
最後までお読みいただきありがとうございました。